不動産購入の際の頭金は財産分与においてどのように考えますか?
不動産購入の際に、夫婦の一方の財産を頭金にしたり、夫婦の一方の両親から頭金をだしてもらうことなどはよくあります。
夫婦の一方の親が頭金を出した場合には,一般的にはわが子への贈与としてその者の特有財産と考えられます。
このように不動産の購入に関し,夫婦の一方の特有財産が原資の一部となっている場合には,財産分与につきどのように考えればよいでしょうか。
この点大阪高判平19年1月23日は,「財産分与に際し,その対象となるマンションの取得価格に占める特有財産が原資とされた割合を控除して夫婦の実質的共有財産を算出する場合には,評価額×(1-特有財産の額÷取得価格)という計算式により算出すべきである。」としています。
つまり,取得価格のうちの特有財産の原資の割合については,特有財産を有していた者の特有財産と考えるわけです。
具体的に例をみてみましょう。
不動産を4000万円で購入。夫(又は夫の親)が1000万円の頭金を出した。別居時の不動産価格は6000万円。
実質的共有財産の価格=6000万円×(1-1000万円÷4000万円)
=4500万円
つまり取得時の4000万円の1000万円を夫(又は夫の両親)が出しているので,不動産の価値のうちの4分の1を夫の特有財産,4分の3を夫婦の共有財産とみるのです。
別居時において不動産の価値が6000万円になっていますので,共有財産の価値としては,6000万円×4分の3=4500万円を夫婦共有財産として,財産分与の金額を算定する場合に考慮します。
財産分与の方法で相手方と話し合いがつかない場合には、弁護士にご相談ください。